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年金等の相談を掲載
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年金等の相談を掲載
ここでは、個人の方向けに、扶養家族や第3号被保険者、働き方の選択、年金に関する情報を掲載しています。
何人かの登場人物が様々なシチュエーションで起こる疑問点などを、社会保険労務士に相談するという形式になって
います。
2026.8.28更新
自営業者であった夫が亡くなった良子さん。小さい子供がいる場合は遺族年金が受けられると聞きましたが、今は58歳で子供はみな成人しています。ずっと支払ってきた保険料が無駄になってしまうのかと困惑しています。そこで、社労士に相談してみることにしました。
良子さん
私は現在60歳で、夫が64歳で急に亡くなりました。夫はずっと自営業で会社勤めをしたことがありません。私も夫の仕事を手伝いながら主婦業をしてきて、夫婦ともに国民年金保険料を納付してきました。
急に夫が亡くなり、私だけでは自営業もできず、65歳になるまでは国民年金を受け取ることもできませんが、遺族に対する年金の支給はあるのでしょうか。
社労士
18歳未満の子(18歳到達年度末までの子)または20歳未満の障害がある子がいなければ、遺族基礎年金を受けることはできません。
しかし、国民年金第1号被保険者(自分で保険料を納付する自営業者等)の独自の制度として、寡婦年金という年金を受けられる場合があります。
良子さんはご主人との婚姻期間が何年ありますか、またご主人は国民年金を何年間納付されたか分かりますか。
良子さん
婚姻期間は30年で、夫は20歳から60歳まで全期間について国民年金の保険料を納付してきたはずです。
社労士
寡婦年金の受給要件は、以下のとおりとなっています。
①夫の死亡月の前月までに、国民年金第1号被保険者としての保険料納付済期間と免除期間(学生納付特例・納付猶予を含む)が合わせて10年以上あること。(死亡日の前日までに納付するか免除申請している必要があります。)
②夫が死亡した当時、夫によって生計維持されていた妻であること。
③夫の死亡月までの婚姻関係が10年以上継続していたこと。
④夫の死亡当時、妻が65歳未満であること。
⑤夫が以前に、障害基礎年金または老齢基礎年金を受けていないこと。
⑥妻が自分自身の老齢基礎年金を繰上げ受給していないこと。
以上の条件に全て該当すれば、夫の死亡日の翌月から妻が65歳に達する月まで支給されます。なお、夫の死亡当時妻が60歳未満の場合は、妻が60歳に達した月の翌月から支給されます。
※妻が60歳代の老齢厚生年金等の他の年金を受けられる場合は、寡婦年金と他の年金は選択になります。
良子さん
65歳からは自分自身の老齢基礎年金が受けられますから、それまでの5年間のつなぎのような年金ですね。支給額はどの程度になるのですか。
社労士
支給額は、夫が死亡しなければ受けられたであろう、第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。
40年間全て納付していた場合は、847,300円×3/4=635,475円(昭和31年4月2日以後生まれの場合)です。
良子さん
他に受けられる年金などはないのですか。
社労士
死亡一時金という制度があります。
これは、国民年金第1号としての保険料を36月以上納付した人が、老齢年金、障害基礎年金を受けずに死亡した時に、生計を同じくしていた一定の遺族に支給される一時金です。
詳しい計算方法は割愛しますが、例えば36月以上180月未満納付の場合で12万円、420月以上で32万円です。
寡婦年金と死亡一時金は同時に受けられませんので、どちらか一方を選択することになります。
良子さんの場合は、寡婦年金の方が多いですから、そちらを選択すればよろしいですね。特に選択届などはなく、寡婦年金の請求書の選択欄に記入すればいい訳です。
良子さん
ありがとうございます。寡婦年金があれば今後の生活設計を何とかしていくことができそうです。
社労士
良子さん自身の老齢基礎年金を繰上げ受給すると、寡婦年金が支給されなくなりますので気を付けてくださいね。
当社会保険労務士事務所では、年金事務所での40年以上の実務経験に基づき、実務に則した相談と手続きを行っております。
寡婦年金の支給申請など、年金の請求だけでも相談と手続きを行っております。
年金を受けられるかどうか分からない段階でもかまいませんので、お気軽にご相談ください。
2026.8.27更新
今回は対話形式ではありません。障害年金の受給要件や額について簡単に分かりやすく説明します。
病気やけがによって、生活や仕事に支障が生じた場合には、障害年金を受け取れる可能性があります。
障害年金は、障害者手帳を持っている方だけが対象となる制度ではありません。まずは、受給要件を確認することが大切です。
障害年金には2種類あります
障害年金には、主に次の2種類があります。
障害基礎年金⇒国民年金に加入している間などに初診日がある場合に対象となります。
障害厚生年金⇒会社員など、厚生年金に加入している間に初診日がある場合に対象となります。
厚生年金に加入中に初診日がある場合は、障害の程度によって、障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされる場合があります。
*障害基礎年金の概要*
<受給するための主な要件>
初診日が次の①または②に該当すること
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師などの診療を受けた日のことです。
①国民年金の被保険者であること。
②国民年金の被保険者であった人で、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満であること。
厚生年金の被保険者も65歳までは国民年金第2号被保険者ですので、国民年金被保険者になります。
害年金では、この初診日が非常に重要になります。
障害認定日において一定の障害の状態にあること
①障害認定日とは、初診日から1年6か月を経過した日、またはその日までに傷病が治るか症状が固定した日のこと。
②障害の状態とは、国民年金法に定められた障害等級の1級または2級の障害状態のこと。
◇障害等級の目安について少し詳しく解説します◇
1級では両眼の視力(矯正視力)が0.03以下、2級では0.07以下など、視力と聴力は数値で定められています。
上肢や下肢、体幹の機能障害は、程度が具体的に定められています。
上記以外の場合の例として、1級の障害等級に「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」というものがあります。これは、他人の介助を受けなければ、ほとんど自分の用をすますことができない程度の状態にあることです。
例えば、身の回りのことはかろうじてできるが、それ以上の活動ができない状態、又は行ってはいけない状態にあることで、次のような状態のことをいいます。
病院内⇒活動範囲がおおむねベッド周辺に限られる状態
家庭内⇒活動範囲がおおむね就床室内に限られる状態
2級の障害等級に「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活に著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度もの」というものがあります。これは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働による収入を得ることができない程度の状態にあることです。
例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動ができない状態、又は行ってはいけない状態にあることをいいます。
病院内⇒活動範囲が概ね病棟内に限られる状態
家庭内⇒活動範囲が概ね家屋内に限れる状態
精神の障害については、上記の障害の程度と同程度以上と認められる程度のものと定められています。また、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を参考に総合的に判定することとされています。
原則として、一定期間以上、国民年金保険料を納付または免除されている必要があります。
①原則:初診日の属する月の前々月までの被保険者期間(国民年金の加入義務がある期間)のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が、3分の2以上あること。
②原則を満たさない場合:初診日が65歳到達日前(65歳の誕生日の前々日前)にある者は、初診日の属する月の前々月までの1年間に未納がないこと。(令和18年4月1日までに初診日があるときの特例です。)
※注意点:①②ともに、「初診日の前日において」とされており、初診日の前日までに、保険料を納付しているか免除の申請をしている必要があります。障害状態になった後に未納の保険料を納付しても、納付済期間には含まれません。
厚生年金については加入していれば保険料納付をしていることになりますが、国民年金については納付を忘れたり未納のままにしておくと、予期せず障害状態になったとしても障害年金を受けられない場合があります。保険料は老齢年金だけではなく、障害年金の受給のためにも納付しておく必要があります。
③初診日が20歳前の場合は、保険料納付要件が不要となります。(ただし所得制限があります。)
<受給額の目安>
令和8年度の障害基礎年金額(年額)
2級⇒約847,300円 1級⇒1,059,125円(2級の1.25倍)
また、18歳到達年度末までにあるなど一定の条件を満たす、生計維持をしている子がいる場合には子の加算が行われます。
1人目・2人目⇒243,800円 3人目以降⇒81,300円
*障害厚生年金の概要*
<受給するための主な要件>
初診日に厚生年金の被保険者であること
障害認定日において一定の障害の状態にあること
①国民年金法に定められた障害等級の1級または2級の障害状態あること
②厚生年金法に定められた障害等級の3級の障害状態にあること
3級の障害の程度とは、労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害とされており、日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。
精神又は神経系統の障害についても、上記と同程度の障害とされています。
①障害基礎年金と同様の納付要件を満たすことが必要
厚生年金は国民年金の第2号被保険者となりますので、国民年金と同じ納付要件を満たしている必要があります。
※以下のような点に注意が必要です。
例:自営業で国民年金の被保険者期間が長く、その間保険料が全部未納であった後に厚生年金に加入した場合
⇒1年経過する前に初診日があり障害状態になったときは、初診日の前々月までの1年間に未納がない要件は満たさず、国民年金の被保険者期間の3分の2以上の要件も満たさない可能性があります。
受給額の目安
2級⇒老齢厚生年金の報酬比例の年金額(老齢基礎年金の2階部分あたる厚生年金額)+2級の障害基礎年金額
1級⇒老齢厚生年金の報酬比例の年金額×1.25倍+1級の障害基礎年金額
3級⇒老齢厚生年金の報酬比例の年金額(最低保障額=2級の障害基礎年金額の4分の3倍)
※厚生年金被保険者期間が300月未満の場合は、300月とみなして計算します。
※1級と2級の障害厚生年金は、同時に障害基礎年金が支給されます。
※1級と2級の障害厚生年金の受給者権者に生計維持されている65歳未満の配偶者がいる場合は、配偶者加給年金243,800円が加算されます。(障害基礎年金には子の加算が、1級2級の障害厚生年金には配偶者加算が支給されることになります。)
*事後重症制度*
国民年金または厚生年金の被保険者期間中に初診日があり、かつ保険料納付要件を満たしている人が、障害認定日において3級までの障害状態になかった場合。
⇒65歳に達する日の前日(誕生日の前々日)までに3級までの障害状態に該当したときは、その日までに障害年金を請求することができます。(
※65歳以後は請求できせん。また、請求日の属する月の翌月から支給開始となりますので、請求遅れには注意が必要です。
まずは早めに確認・相談を
障害年金は、初診日や保険料の納付状況、障害の状態などによって受給できるかどうかが決まります。
「自分は対象になるのだろうか」「どのくらい受け取れるのだろうか」と感じた場合は、早めに年金制度を確認することをおすすめします。
※障害年金の受給要件や年金額は、個別の状況によって異なります。また、年金額は毎年度改定される場合があります。
※この記事に掲載している年金額は全て令和8年度のものです。
当社会保険労務士事務所では、年金事務所での40年以上の実務経験に基づき、実務に則した相談と手続きを行っております。
障害年金は、ここに記載した制度以外にも複雑な制度があり、場合によっては該当しないと思っていたものが該当することもあり得ます。
障害年金の受給要件に該当するかどうか分からない段階でもかまいませんので、お気軽にご相談ください。
2026.8.5更新
今回は相談者をAさんとして解説をします。
Aさん
交通事故に遭い病院に運び込まれましたが、健康保険で治療を受けることはできますか。
社労士
その事故は、お仕事中のことですか、それとも通勤途中のことですか。お仕事中や通勤途中の場合は、健康保険での治療は受けられず労災保険の対象になりますので、まずそれを確認してください。
Aさん
仕事中でも通勤途中でもなく、全くの私用で外出中のときです。
社労士
それですと、健康保険の対象になりますので、マイナ保険証または健康保険資格確認書を使用して、健康保険で受診することができます。その交通事故は自損事故ですか加害者のいる事故ですか。
Aさん
加害者のいる事故ですが、私も車を運転していましたから、こちらにも責任はあると思います。
社労士
相手方がいる事故の場合は、「第三者行為による傷病届」という書類を、健康保険協会または健康保険組合に速やかに提出する必要があります。これを提出すれば健康保険で受診することができますが、すぐに提出できない場合は電話連絡をしてください。
Aさん
加害者側からは自動車保険で賠償するので、健康保険ではなく自動車保険で治療を受けるよう言われていますが、どうすればいいのでしょうか。
社労士
どちらで治療を受けるかは自由ですが、加害者の自動車保険を使う場合は注意が必要ですので、よくお聞きください。
交通事故の状況について、ある程度はあなたにも責任があるとおっしゃいましたが、特に自動車同士の事故の場合は、どちらか一方に100%責任があるということはあまりありません。仮に加害者が70%あなたが30%の過失割合(責任の割合)とすると、治療費の内70%しか保証してくれないということになります。
また、自動車保険での治療は自由診療となりますので、健康保険での治療費の2倍程度になることもあります。そうすると、高額になった治療費の30%をあなたが負担することになります。
一方、健康保険の場合は費用が低く抑えられたうえで、あなたの負担は窓口負担の3割だけということになります。その3割負担額の内の70%は加害者から賠償してもらうことになります。また、入院や手術で費用が高額になった場合は、健康保険の高額療養費制度が利用できますので、1か月の負担額が一定額を超えることはありません。
よって、加害者に100%過失があることが明らかでなければ、健康保険で治療を受ける方が自己負担を減らすことができます。
なお、慰謝料については健康保険による治療によって影響を受けることはありません。
Aさん
教えてもらったとおりに、病院に健康保険での受診を申し出たところ、交通事故では健康保険を使えないと言われました。
社労士
病院側としては自動車保険での診療の方が高額の請求ができるため、そのように言われていると考えられますが、本当にご存じないのかも知れません。
「第三者行為による傷病届」を提出していることを伝えて、健康保険での治療を申し出れば問題ないはずです。
それでもできないと言われたときは、健康保険協会か健康保険組合に問い合わせるように話されるといいでしょう。
Aさん
他に何か注意点はありますか。
社労士
被害者側にも過失がある場合は、健康保険で治療を受ける方が自己負担を抑えられると言いましたが、自動車保険による自由診療の場合は、健康保険ではできない先端医療を受けられる場合がありますので、念のために病院に確認されてもいいでしょう。
過失割合のことを少しお話ししますと、例えば、被害者が歩行者で加害者が信号無視での事故とか、横断歩道を歩行中の事故などは、100%加害者の過失と言えるかも知れません。しかし、歩行者が車道に飛び出した場合などは、被害者に過失がないとは言えません。いずれにしても、相手方から治療費負担の申出があった場合は、過失割合をよく確認してからにしてください。
Aさん
はい分かりました。ところで「第三者行為による傷病届」は何のために提出するのですか。
社労士
この届に基いて、加害者に健康保険の診療費用を損害賠償請求するためです。本来であれば、あなたが加害者に損害賠償の請求をするところを、あなたは健康保険で治療を受けて自己負担を抑えます。その代わりに、健康保険協会や健康保険組合が、あなたに代わって加害者(保険会社)に損害賠償請求をするという流れになります。
ここで重要な注意点があります。それは、加害者側から示談の申出があっても安易に応じないことです。
示された補償額で示談をして、今後は損害賠償の請求をしないことに応じると、健康保険協会等から加害者への損害賠償請求もできなくなってしまいます。そのため、その日以後の健康保険での受診ができなくなってしまいます。後で治療が長引いたり後遺症が出た場合に、全額自己負担になる恐れがあります。
また、示談書の中に休業補償が入っていると、健康保険の傷病手当金の請求もできなくなります。傷病手当金額と損害賠償による休業補償額をよく比較検討してから示談交渉する方がいいでしょう。
健康保険協会でも「第三者行為による傷病届」を提出した方には、示談をする前には必ず連絡するよう注意喚起しています。
当社会保険労務士事務所では、「第三者行為による傷病届」の相談や提出代行を行っております。
また、業務中や通勤途中の事故の場合は、労災保険の相談や手続きも行っておりますので、いつでもご相談ください。
2026.7.29更新
結婚して退職後、近くのカフェチェーンでパート勤務している香織さん。
お店が忙しくなってきて勤務時間が長くなり、今月は給料が110,000円でした。このままでは年間130万円を超えてしまいそうです。
来月からは、扶養家族から外れて自分で保険料を支払うことになるのか心配になってきました。
香織さん
月の給料が108,333円を超えると夫の扶養家族にはならないと聞きましたが、私の場合は来月から扶養家族から外れることになるのでしょうか。
社労士
108,333円を超えていたとしても、それが一時的なものであれば、すぐに扶養家族から外れる必要はありません。
香織さんの場合は、一時的なものですか、それとも今後も毎月超えることが見込まれますか。
香織さん
一時的に人出が足りなくてシフトに多く入っていますので、一時的なものだとは思います。しかし、新しい人が入って来なければ、来月以降も108,333円を超えてしまうかも知れません。
社労士
今月と来月くらいだけ一時的に基準額を超えていても、その後は元に戻るのなら扶養家族から外れる手続きを取る必要はありません。
香織さん
夫の会社に、扶養家族の確認書類が協会けんぽから届いているらしいのですが、これを提出すると収入が基準額オーバーということで、扶養家族から外されてしまわないでしょうか。
社労士
会社の都合で一時的に収入が増えた場合は、「一時的な収入変動に係る事業主の証明」という書類に、香織さんのお勤め先で証明を受けて提出すれば大丈夫です。
それと、もう一つ、香織さんが今のお店に雇用されたときの雇用契約書には、勤務時間について明確に書かれていましたか。
香織さん
はい、シフト制ですけど、1か月何時間と明確に書かれていて、時間外勤務もなし、という内容になっています。それで私も、ここで働くことに決めたのを覚えています。
社労士
それですと、「労働契約内容による年間収入での被扶養者認定」という、今年度から導入された取扱いに該当する可能性があります。
この取り扱いは、労働契約(雇用契約)書等の記載内容から見込まれる年収が、130万円未満(60歳以上は180万円未満)であり、時間外労働等の見込がなかったのであれば、扶養家族から外されない可能性があるというものです。
その場合は、協会けんぽの扶養確認の際に、雇用契約書を添付すればよいです。
ただし、時間外労働等による収入増が、社会通念上妥当な範囲に留まる場合という条件がありますので、実際の適用にあたっては年金機構や協会けんぽに確認されるのがよいでしょう。
当社会保険労務士事務所では、年金や働き方の相談など社会保険に関するご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
2026.7.12更新
大津市内の会社で働き社会保険に加入していた真由美さん。6月20日に転職のため退職し、6月の最後の給与から控除されていた社会保険料は前月の5月分であることを確認しました。そんな折、6月末に先輩が退職し、「いつもより高い保険料が控除されている。」と聞きました。
真由美さん
先日教えてもらったとおり入社時の給与明細を確認すると、保険料の控除はなく、念のため会社の担当者に確認すると、保険料は前月分を控除しているとのことでした。
そんな折、会社の先輩が6月30日に退職したのですが、6月支払の最後の給与明細を見ると、普段より随分高い額の社会保険料が控除されていると話しています。これはどういうことでしょうか。
社労士
6月末に退職した場合は、翌日の7月1日が資格喪失日になりますから、保険料は6月分まで徴収されることになります。
給与から控除されるのは前月分の保険料ですから、退職月にも前月分の5月分の保険料が控除されます。ところが、月末に退職した場合は退職月の保険料も徴収されますが、退職後に給与の支払いがありません。
最後の給与で5月分と6月分の2か月分を控除しておかないと、徴収できなくなる可能性があります。そのため、2か月分の保険料が控除されて高い額となっているのです。
法律上でも、退職した場合は、前月分と当月分の2か月分を控除できると定められています。
真由美さん
そういうことですか。先日教えてもらった社会保険料控除についての知識の応用問題でしたね。よくわかりました。それにしても法律というのは、そのようなことまで想定して定められているのですね。
社労士
はい、法律は矛盾するようなことがないように、また実際に運用するうえで支障がないように定められています。
ただし、法律用語は難しく、とても分かりにくく書かれています。また、法律だけでは定めきれない詳細等については、施行令や施行規則さらには通知等というものに規定されている場合が多くあります。
社会保険や労働関係の法律で不明な点があれば、社会保険労務士などの専門家や行政の窓口に相談されるとよろしいかと思います。
当社会保険労務士事務所では、年金や働き方の相談など社会保険に関するご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
2026.7.10更新
大津市内の会社で働き社会保険に加入していた真由美さん。6月20日に転職のため退職しましたが、6月の最後の給与から社会保険料が天引き(控除)されていました。退職した月の保険料はかからないと聞いていたので、会社の担当者の間違いではないかと思い相談してみることにしました。
真由美さん
私は、6月20日に退職したのですが、6月の支払の給与から健康保険料と厚生年金保険料が控除されていました。6月は20日までしか働いていませんし、保険料は支払う必要がないのではないでしょうか。
社労士
まず、社会保険料の納付が必要な月について説明しますと、次のようになります。
社会保険料は日割計算がなく全て1か月単位になります。社会保険に加入した月(資格取得月)は、それが1日でも30日でも1か月分納付することになります。(4月20日に加入した場合は4月分を1か月分納付)
社会保険の資格がなくなった月(資格喪失月=退職日の翌日が属する月)は、それが1日でも30日でも納付の必要はありません。
真由美さん
そうすると、やはり私の場合は6月分の保険料を控除されているのは間違いですか。
社労士
6月分の保険料がかからない(納付の必要がない)ことは間違いないのですが、6月分支払いの給与で控除されている保険料が何月分かを確認する必要があります。
法律上では、健康保険料と厚生年金保険料は、前月分を当月の給与から控除できると定められています。したがって、通常は6月支払の給与から控除されている保険料は、前月の5月分ということになります。
真由美さんの会社が法律通りに前月の保険料を控除しているのであれば、退職月の保険料は控除されていませんから間違っていないということになります。
転職して6月21日から別会社で社会保険に加入すると、そちらの方で6月分の保険料を納付することになりますので、二重に保険料を負担するということにはなりません。
真由美さん
しかし、会社の方で、前月分の保険料ではなく当月分の保険料を控除しているのであれば、引き過ぎということになりすね。
社労士
それを確認するには、会社の担当の方に、6月支払の給与で控除された保険料が何月分かを尋ねるのが一番早いですね。
自分だけで確認したいなら、真由美さんが入社した月に保険料が控除されていたかを給与明細書で確認する方法がありますが、給与の締切日と支払日はどうなりますか。それから、入社はいつですか。
真由美さん
入社は昨年の4月1日で、給与は毎月20日締めの当月25日支払です。
社労士
そうすると、昨年の4月25日支払の給与明細書を見て、社会保険料が控除されていなければ、保険料を翌月に控除しているということになります。
なぜなら、保険料は4月分から納付することになりますが、通常は4月25日の給与支払日には控除せず、翌月の5月25日に初めて前月分の4月分を控除することになるからです。
そういうことですから、もし、4月25日の給与で保険料を控除されていたとすれば、誤って控除されている可能性がありますので、担当者によく確認する必要があると思います。(4月25日の給与で控除すべき保険料は3月分のため)
真由美さん
通常は保険料は翌月支払の給与から控除するということをお聞きしましたが、当月の給与で控除している会社もあるのですか。
社労士
大体の会社では翌月支払の給与で前月分保険料を控除していますが、中には就業規則などで定めて、当月分保険料を当月支払の給与で控除している会社もあるようです。
もし、真由美さんの会社が当月分保険料を当月支払の給与で控除しているのでしたら、昨年4月25日支払の給与で控除したのは4月分ということですから、間違ってはいないことになります。
ただし、その場合は、退職月の6月支払の給与で控除する保険料は、当月分の6月分ということになります。しかし、6月分の保険料は納付の必要がありませんから、控除は間違いということになります。
少しわかりにくかったかも知れませんので、まとめると次のようになります。
①社会保険料は加入した月は1か月分納付するが、資格がなくなった月(退職日の翌日が属する月)は納付の必要がない。
②保険料は前月分を当月支払の給与から控除するのが原則。(翌月支払の給与で控除する)
③社会保険の資格がなくなった月と入社月(社会保険加入月)の両方で社会保険料が控除されている場合は、誤って1か月分多く控除されいている可能性がある。
当社会保険労務士事務所では、年金や働き方の相談など社会保険に関するご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
2026.7.8更新
大津市内の飲食店で正社員として働いている七海さん。昨年男の子を主産し今年の4月まで育児休業を取得していました。5月に職場復帰しましたが、当面は勤務時間を2時間程度短縮してもらっています。そのため、収入が下がったのですが、これに対しての給付金などの支援はあるのか聞いてみることにしました。
七海さん
私は子供が1歳になるまでは育児休業給付金を受けて育児休業をしていましたが、1歳になった今月から職場復帰しました。子供の保育園の送り迎えなどがあり勤務時時間を2時間短縮してもらっていますので、給与もその分減っています。この分の埋め合わせのような給付金は受けられないのでしょうか。
社労士
はい、育児時短就業給付金という給付があります。受けられる方は以下の要件を満たした方です。
①2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する雇用保険の被保険者であること。
②育児休業から引続き同じ子について時短就業を開始していること。(または、時短就業開始前2年間に雇用保険被保険者期間が12ヶ月以上あること。)
つまり、育児休業から復帰して引続き時短就業を続ける雇用保険加入者について、子が2歳になるまで支給される給付金ということになります。
七海さん
支給額はどの程度になりますか。
社労士
育児時短就業中に支払われた賃金の低下率が、育児休業開始前の賃金の90%以下の場合は、支払われた賃金の10%の額になります。低下率が90%以上の場合は支給額が調整されます。
七海さん
私は1日8時間の所定労働時間が1日6時間に短縮されますが、1日1時間の短縮でも支給されるのでしょうか。
社労士
特に何時間以上の時間短縮という決まりはありませんが、賃金が低下していなければ支給されません。
また、雇用保険の被保険者であることが要件の一つですから、週に20時間未満の所定労働時間で復帰した場合は、雇用保険の被保険者になりませんから支給対象外になります。
ただし、子が小学校入学前までに、所定労働時間が20時間以上になることが就業規則等の書面で定められている場合は支給されます。
当社会保険労務士事務所では、年金や働き方の相談など社会保険に関するご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
2026.7.8更新
大津市で電子部品の製造会社を経営している英治さん。65歳から厚生年金を受けていますが、会社から役員報酬を受けているため年金額の大部分が支給停止(減額)されています。今年で70歳になり、厚生年金の保険料を支払う必要がなくなりますが、今後は年金を全額受けることができるのだろうかという疑問が出てきました。
英治さん
以前に相談した結果、繰下げ請求せずに65歳から年金を受けています。役員報酬を月に100万円もらっているため、150,000円の年金のうち125,000円が支給停止(減額)されています。今年で70歳になりますが、70歳からは厚生年金の保険料を支払わなくてもいいということですが、年金は全額支給されるようになるのでしょうか。
社労士
確かに70歳以降は厚生年金保険料を納付する必要がなくなりますが、70歳以上被用者該当届という届の提出が必要になります。この届は勤務先の会社から提出されますが、英治さんの場合は社長様ですからご自分で提出することになります。
この届は、70歳以後も引続き社会保険に加入するような働き方の人について必要な届になり、これに基いて70歳以後も支給が停止されます。支給停止の割合は70歳までの老齢厚生年金の支給停止と同じ方法で計算されます。
老齢厚生年金の在職中の支給停止額の計算方法は次のようになります。
①標準報酬月額(毎年5、6、7月支給の給与平均額で決定される月額)
②過去1年間の賞与額÷12ヶ月
③老齢厚生年金の月額=年金額÷12ヶ月(加給年金等は除く)
支給停止額=(①+②+③ー65万円)×2分の1
したがって、英治さんの場合ですと、役員報酬は毎月一定額で100万円ですから標準報酬月額は上限の65万円①となり、1か月あたりの賞与は120万円÷12ヶ月で10万円②です。年金月額は180万円÷12ヶ月で15万円③です。
よって、(65万+10万+15万-65万)×1/2=125,000円が支給停止となり、支給額は月に25,000円になります。
したがって英治さんも引続き100万円の報酬と120万円の賞与を受けられるのなら、これまでと同様に一部支給が停止されたままになります。
もしも、賞与の支給を0にして、その分を役員報酬に加算しても標準報酬月額は65万円のままですから、支給停止額は75,000円に減額されます。
英治さん
そうすると、何歳になると全額受け取れるようになるのですか。せっかく働いて報酬を受けても、大部分が支給停止されるとなるとなんだか損をしているような気がしますが。それと、長年納めてきた保険料が無駄になるようにも思えるのですが。
社労士
70歳以上被用者届は、70歳未満の方と同様に毎年報酬の見直しの届を提出することになっていますので、これにより支給停止額が見直されますが、何歳までという期限は特にありません。
したがって、常時勤務する方や会社の社長様で報酬を受ける方は、その状態が続く限り厚生年金が支給停止になることがあります。
報酬が低くなったり賞与の支給が少なくなると、支給停止額が少なくなったり全額支給される場合もあります。
英治さん
そういう決まりになっているのなら仕方ないですが、これからは役員報酬や賞与額の見直しも含めて、今後の人生設計を考えたいと思います。
社労士
在職時の支給停止については今年度から大幅に緩和され、厚生年金の年金額と報酬(賞与額の12分の1を含む)の合計が65万円までは支給停止されくなりましたので、高齢の方でも安心して働きやすくなっています。
また、日本の年金制度は、皆さんが納付された保険料が、その時の年金受給者の年金に充てられるという「世代間扶養(賦課方式)」が基本となっていますので、世代間の助け合いという意味では無駄になっているということではありません。
当社会保険労務士事務では、年金や働き方の相談など社会保険に関するご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
2026.7.2
大津市内の飲食店で正社員として働いている七海さん。昨年男の子を主産し今年の4月まで育児休業を取得していました。5月に職場復帰しましたが、当面は勤務時間を2時間程度短縮してもらっています。そのため、収入が下がったのですが、社会保険料は以前のままの額を天引きされています。そこで、この負担を軽減するような制度がないものか相談してみることにしました。
七海さん
5月から育休明けで職場復帰したのですが、時短勤務のため給料が月に2万円ほど下がっています。ところが、社会保険料は子供の出産前と同じ額のまま引かれています。これでは負担が大きくて困ります。何か支援ようなものはないのでしょうか。
社労士
このような場合は、保険料負担の軽減のため、「育児休業終了時報酬月額変更届」という届があります。この届はお勤め先の事業所から提出されるものですが、制度について知識がないと、仮に事業所の担当の方が知識不足の場合は、この届が提出がされない可能性がありますので、知っておくべきだと思います。
この制度は、育児休業からの職場復帰月から数えて3か月間の報酬の平均が、現在の標準報酬月額と比較して、保険料額表で1等級以上(1段階以上)下がった場合に、4か月目から標準報酬を改定して保険料額を低くできる制度です。
※標準報酬月額・保険料額表等については「企業向けお役立ち情報」の「給与額に変更があったときの届について」の記事をご参照ください。
七海さんの現在の標準報酬月額は分かりますか。また、復帰後の3か月間の給与の平均額は分かりますか。
七海さん
はい、標準報酬月額は会社からもらった通知書に240,000円と書かれています。復帰後の給与明細はここにありますから、平均を計算すると220,000円になります。
社労士
そうすると、5月から復帰して7月までの3か月平均で220,000円ですから、現在の標準報酬月額と比較して1等級下がっています。
通常の報酬月額変更届は2等級以上下がらなければ提出できないのですが、育児休業終了時は1等級差でも提出できますので、これにより8月分の保険料から少し下がることになります。
仮に、届の提出がなくても、算定基礎届によって毎年9月から標準報酬月額が変更になります。
この届は本人の申出がなければ提出できませんので、事業所の担当の方から説明がなければ、ご自分から申出られる必要があります。
七海さん
標準報酬月額が下がると、将来受ける年金額も少なくなると思いますが、このような影響を受けないようにする方法はないのでしょうか。
社労士
はいあります。「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」という届を提出すると、お子さんが3歳になるまでは、標準報酬月額が出産前よりも低くなった期間についても、出産前の標準報酬月額に基いて年金額が計算されます。
ただし、健康保険については適用がありませんので、病気やけが等で休業して給与が出ない場合の傷病手当金は、実際の標準報酬月額にもとづく給付額になります。
この届も本人の申出がなければ提出できませんので、事業所の担当の方から説明がなければ、ご自分から申出られる必要があります。
七海さん
ありがとうござます。勤務先から説明がなければ、自分から申出てみるようにします。
ところで、育児休業中は育児休業給付金を受けていましたが、復帰後の時短勤務中の給与を補填するような給付はないのでしょうか。
社労士
はい、雇用保険から「育児時短就業給付金」というものが受けられますが、これについては今度お話ししましょう。
当社会保険労務士事務所では、年金や働き方の相談など社会保険に関するご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
2026.6.23更新
滋賀県、大津市のお住いの方から、年金の離婚分割について聞かれることが最近よくあります。
そこで、今回は年金の離婚分割について概要をお話しします。
現在55歳で正社員として勤務中の正子さん、5歳年上の夫とは結婚30年になり、夫は今も会社勤めで厚生年金に加入しています。最近、夫と離婚した場合のことを少し考えていて、友達から年金の離婚分割を考えていると聞きました。私も聞いたことはありますが、正確なことが分かりません。これでは、判断材料にすることもできないため、相談してみることにしました。
正子さん
年金の離婚分割という話をよく聞ききますが、どの期間が分割の対象になるのでしょうか。
社労士
年金にも種類があり、国民年金保険料を自分で納付した期間は分轄対象にはなりません。対象になるのは厚生年金や共済年金だけです。正子さんの場合ですと、婚姻期間中にご主人が厚生年金に加入していた期間が対象ということになります。
正子さん
どのように分割されるのでしょうか。
社労士
婚姻期間中の厚生年金額の計算の基礎となる標準報酬総額(毎月の報酬と賞与額の合計)が、高い方から低い方へ分割の割合に応じて移管されます。
正子さんの場合は、ご主人の標準報酬総額の方が高いですから、ご主人の方から正子さんの方へ移管されるということになります。
そして、分割後の標準報酬総額に基づいて双方の年金額が決定されるということです。もちろん、自分自身の受給開始年齢(通常は65歳)になるまでは支給されません。
正子さん
離婚分割の請求は、私一人でできるのですか。
社労士
離婚分割には合意分割と3号分割というものがあり、合意分割は、当事者両方の合意または裁判手続きによる処分がなければ請求できません。
正子さん
按分(分割)の割合は自由に決められるのですか。
社労士
按分割合は、正子さんの場合ですと、ご主人から正子さんへ渡す標準報酬総額の割合のことを言います。
この割合は、ご主人と正子さんの婚姻期間中の標準報酬総額合計に対して、分割後の正子さんの標準報酬総額の割合のことを言い、最高で2分の1までと定められています。
ご主人の年金額の方が少なくなってしまうような分割はできないということです。
正子さん
そうすると、2分の1の割合で分割すると、夫が本来受けるべき年金と私が受け取る年金が同額になるということでしょうか。
社労士
実はそうではないのです。年金には老齢基礎年金と言う1階部分と、老齢厚生年金という2階部分があり、分割されるのは2階部分の老齢厚生年金だけです。老齢基礎年金まで分割されて増額になることはありません。
正子さん
分割の請求ができるのはいつからになりますか。
社労士
離婚をしたときから5年以内(令和8年4月1日までに離婚をした場合は2年以内)になります。
正子さん
離婚分割の対象になる標準報酬総額や按分できる割合を、事前に知ることはできるのでしょうか。
社労士
はい、離婚前であっても、夫婦双方または一方からでも、年金事務所に情報提供の請求を行うことができます。
婚姻前に、正子さんのほうからのみ情報提供の請求を行った場合は、その結果の通知は正子さんだけにされますので、事前に自分だけで調べることが可能です。
正子さん
私は、結婚してから子供が大きくなるまでは専業主婦で、夫の扶養家族となり国民年金の第3号被保険者になっていました。この期間についても合意分割の対象になるのですか。
社労士
国民年金第3号被保険者の期間については、3号分割と言いまして合意分割とは別の分割制度が適用されます。
これは、第3号被保険者期間中の配偶者の厚生年金標準報酬総額を、第3号被保険者に対して2分の1分割するという制度です。
この3号分割は、当事者双方の同意がなくても、3号被保険者からの請求のみで分割できます。ただし、平成20年5月1日以降の離婚に限り、平成20年4月以降の第3号被保険者期間のみが分割対象になります。
また、この3号分割も請求期限は、離婚をしたときから5年以内(令和8年4月1日までに離婚をした場合は2年以内)になります。
正子さん
離婚分割後に元夫が亡くなっても、私に分割された年金は受けられますか。
社労士
はい、元ご主人が亡くなった場合でも、正子さんの分割された年金額に影響が出ることはありません。
これ以外にも、離婚分割には条件や定めがありますが、ここではこれ以上の説明は長くなりますので省略します。
当社会保険労務士事務所では、離婚分割の相談や情報請求並びに分割請求の代行もいたしております。
もっと詳しく制度を知りたい方や、相談および代行手続きをご希望の方は、まずは無料相談をお試しください。
2026.6.15更新
大津市で電子部品の製造会社を経営している英治さん。65歳になり、年金機構から年金の請求書が送られてきました。まだまだ現役で会社経営を続けるつもりのため、年金を繰下げて受けることを検討していますが、そうすることが自分にあった選択なのか迷っています。
英治さん
私は中小企業の社長で、月に100万円の報酬と年に120万円の賞与を取っておりますので、年金をすぐに受けずに70歳から受けようと思っています。65歳から受けずに繰下げて受けると年金額が増えると聞きますが、どのくらい増えるのでしょうか。
社労士
年金には老齢基礎年金と老齢厚生があり、どちらも月単位で繰下げて受けることができます。これを繰下げ受給と言いますが、どちらも1か月繰下げると0.7%の増額となります。66歳以後から受けることが可能で、66歳から受けるなら8.4%の増額、70歳なら42%の増額となります。
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、それぞれ別々に繰下げ請求することができます。
英治さん
月に100万円の報酬を受けていると年金が減額になると聞きますが、私の場合はどのくらい減るのでしょうか。
社労士
減額になるのは老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金は減額されません。なお、正確には減額ではなく支給停止と言います。
支給停止額を計算するには、英治さんの受ける年金額を知る必要がありますが、確認されましたか。
英治さん
はい、年金事務所で予約を取って年金見込額を試算してもらいました。老齢厚生年金が180万円、老齢基礎年金が847,300円です。
社労士
老齢厚生年金の在職中の支給停止額の計算方法は次のようになります。
①標準報酬月額(毎年5、6、7月支給の給与平均額で決定される月額)
②過去1年間の賞与額÷12ヶ月
③老齢厚生年金の月額→年金額÷12ヶ月(加給年金等は除く)
支給停止額=(①+②+③ー65万円)×2分の1
したがって、英治さんの場合ですと、役員報酬は毎月一定額ですから標準報酬月額は上限の65万円①となり、1か月あたりの賞与は120万円÷12ヶ月で10万円②です。年金月額は180万円÷12ヶ月で15万円③です。
よって、(65万+10万+15万-65万)×1/2=125,000円が支給停止となり、支給額は月に25,000円になります。
英治さん
よく分かりました。そうすると、今受けても老齢厚生年金額は年額30万円になってしまいますので、すぐに受けずに70歳から受けると、180万円の42%で756,000円も増えるということですか。これなら繰下げ受給しない手はないですね。
社労士
残念ながら、そう都合の良い制度にはなっていません。本来であれば在職により支給停止になっている額は、繰り下げ支給による増額分には反映されません。英治さんの場合ですと、30万円×42%で126,000円だけ増えることになります。
もう1点気を付けることがあります。年金事務所の見込額試算票を見ると、配偶者の加給年金が支給されるようですが、奥様は何歳ですか。
英治さん
妻は60歳で、過去に厚生年金に10年間だけ加入したことがあります。
社労士
それですと、仮に70歳まで繰下げて請求すると、その待機期間中は奥様に対する加給年金の支給もされません。また、加給年金は繰下げによる増額はありません。
加給年金額は423,700円で、配偶者が65歳になるまでしか支給されません。したがって、5年間で211万円程の年金が受けられなくなります。
繰下げ受給した場合の増額率が月0.7%とすると、繰下げ受給待機期間である5年間分の年金額を、42%増額した額で割ると、約11.9年という計算になります。すなわち、繰下げ受給開始月から約12年経過した後からは、年金受給総額が増えていくという計算になります。
英治さんの場合、老齢基礎年金だけを繰下げ請求するという方法も考えられますが、これらのことを総合的に勘案して何歳から年金を受けるかを判断する必要があります。
人によって状況が異なりますので、どのような年金の受け方が適しているかは個別に判断するしかありません。
当事務所では、年金の受給方法の判断や見込額試算、また働き方の選択も含めて、各個人それぞれの状況に適した判断をするお手伝いをしております。
年金や働き方の相談を検討されている方はお気軽にお問い合わせください。
2026.6.6更新
定年後の再雇用期間を満了して退職した65歳の宏司さん。65歳以降はしばらく休養して、その後は週に3日程度働きたいと考えています。新しい職が見つかるまでの間は雇用保険の失業給付が受けられるのか、65歳からは年金も受けられので、どちらも受けることができるのか疑問に思っています。
宏司さん
私は65歳の誕生月の末日で退職しましたが、長年雇用保険に加入して来ました。この年齢でも失業給付は受けられるのでしょうか。
社労士
65歳以上の方は高年齢被保険者と言い、失業給付の基本手当(いわゆる失業保険)は受けることができません。その代わりに高年齢求職者給付金という給付を受けることができます。
高年齢求職者給付金は、離職前の1年間に雇用保険の被保険者期間(加入期間)が6ケ月以上ある方に支給されます。支給額は、雇用保険の算定基礎期間(引続いて被保険者であった場合は被保険者期間とほぼ同じ)が1年未満の場合は基本手当日額の30日分、1年以上の場合は50日分となっています。基本手当日額は、離職前の給与額の5割~8割(給与額による)となります。
宏司さん
私は退職後すぐには再就職するつもりはないのですが、それでも高年齢求職者給付金は受けられますか。
社労士
高年齢求職者給付金は失業の状態にある方に支給される給付ですので、ハローワークに出頭し求職の申込をしたうえで失業の認定を受けなければ支給されません。ただし、通常の基本手当と異なり、ハローワークに出頭するのは求職の申込時と、ハローワークが指定する失業認定日(2~4週間程度後)だけになります。
失業認定日に就職していると支給されませんので注意が必要です。失業認定日以降であれば、すぐに就職しても返還する必要はありません。
宏司さんのようにすぐに就職するつもりのない方は失業状態とは言えませんが、この給付の受給期限は離職後1年以内となっており、1年以内に求職の申込をしなければ受給できなくなります。また、失業認定日から1年後の日までの日数が所定の支給日数に満たなければ、その日数分しか受給できません。就職するつもりがあるのでしたら、早めにローワークに出頭して求職の申込だけでもした方がよいでしょう。
なお、高年齢求職者給付金と年金の支給調整はありませんので両方受けることができます。
2026.5.30更新
今回は対話形式ではありません。要点を簡潔にまとめました。
年収の壁とよく聞きますが、以下の4つが主な壁となります。
130万円の壁
60歳未満の人が配偶者の健康保険被扶養者(扶養家族)と国民年金第3号被保険者になる収入の上限のことです。60歳未満の人は年収が130万円未満、60歳以上の人は180万円未満となります。(第3号被保険者は60歳まで)
この収入は今後の収入だけを含み、扶養家族になるまでの収入は含みません。また、給与のように毎月入る収入は月額で見ることになります。つまり、月収が108,333円(130万円÷12ヶ月)以下となります。60歳以上の人は15万円未満です。
106万円の壁
厚生年金加入者数が51人以上の企業等(特定適用事業所と言います)に勤務する人の、社会保険加入要件の目安のことです。
正確には1ヶ月の給与額が88,000円以上(通勤手当・賞与等は除く)、週の労働時間が20時間以上、昼間学生でない人は、健康保険と厚生年金に加入しなければなりません。88,000円×12ヶ月=1,056,000円のため106万円の壁と言われています。
なお、特定事業所の範囲が令和9年10月から、厚生年金加入者数が36人以上の企業等に拡大されます。
178万円の壁
年間の給与収入額が178万円以下の人は所得税が課税されません。扶養家族になれる要件と違って、1年間の収入全体で見ることになります。
なお、令和8年については、源泉徴収は令和7年の非課税枠でるある160万円により行い、年末調整で清算されることになります。
また、夫が正社員で妻がパートの場合等で、妻の給与収入が160万円以下の場合に、夫の所得税の配偶者控除(配偶者特別控除)を最大限の38万円受けられます。
30時間の壁
健康保険と厚生年金に強制加入となる、1週間の労働時間の目安のことです。
正確には勤務している会社の正社員の「1週間の所定労働時間・1ヶ月の所定労働日数」の両方について、その4分の3以上勤務する場合は、給与額に関係なく加入しなければなりません。
正社員の1週間の所定労働時間が40時間(1日8時間・週5日)の場合は、週30時間以上かつ月22日以上勤務の場合に強制加入になります。
なお、勤務している企業等が特定適用事業所の場合は、106万円の壁で説明しました通り、要件が異なりますので注意が必要です。
社会保険の加入判断は、勤務実態や会社の状況によって異なってきます。誤った判断をすると、勤務時間を増やして給料額が上がったにも関わらず、反って損をしたような気分になる可能性もあります。
当事務所では年金事務所での長年の経験にもとづき、社会保険の加入や働き方の判断のアドバイスを行っております。自分の状況がよく分からない方などは、お気軽にご相談ください。
2026.5.10更新
現在28歳の香織さんは、結婚を機に6年間務めた会社を退職しました。結婚後は家事をしながら少し働きたいと思い、近くのカフェチェーンにパートで勤務することにしました。そこで次のような疑問が出てきました。
香織さん
夫は正社員として会社勤めをしており月収30万円、社会保険に加入していますが、私はパート勤務なので夫の扶養家族になれるのでしょうか。パートの月収は8万円ほどで、週に18時間勤務となっています。正社員の人は週40時間勤務ということです。
社労士
はい、その条件ならご主人の健康保険の扶養家族と国民年金の第3号被保険者になります。
また、香織さんご自身は社会保険の加入対象にはなりません。
香織さん
しかし、私は9月まで正社員として働いていて、月に20万円もらっていましたから、すでに180万円の収入があります。年収130万円未満でないと扶養家族になれないと聞きますが、大丈夫なのでしょうか。
社労士
扶養家族になる条件としての収入には今後の収入しか含みませんので、それまでの収入は関係ありません。月8万円なら扶養家族になることができます。
当事務所では年金事務所での長年の経験にもとづき、社会保険の加入や働き方の判断のアドバイスを行っております。自分の状況がよく分からない方などは、お気軽にご相談ください。
昭和38年4月1日生まれで現在63歳の恵子さん。現在は正社員として介護施設で働いています。
誕生日の1ヶ月ほど前に年金機構から年金の請求用紙が送られてきましたが、まだ働いていて今す ぐに年金を受けようとは思っていません。どうすればいいのかよく分からず困っています。
恵子さん
私は65歳まで正社員として働くつもりで、年金は70歳から繰り下げて受けようと思っています。
このまま何もせずに置いておいていいのでしょうか。
社労士
現在の制度では老齢年金は65歳から受けられることになっていますが、経過措置があり、昭和37年4月2日~昭和39年4月1日に生まれた女性は、厚生年金だけを63歳から受けることができます。
この年金を特別支給の老齢厚生年金といい、この年金には繰下げ請求の制度はありません。請求書を提出せずに置いておいても年金額が増えることはなく、それどころか5年を経過すると時効になり、受け取ることができなくなってしまいます。
恵子さん
そうすると、5年が過ぎる前に請求すればいいということでしょうか。
社労士
理屈的にはそうですが、置いておいても年金額が増えることはありませんし、毎年物価が上昇している状況では、後でまとめてもらっても物価上昇分だけ損をすることにもなりかねません。請求忘れになることがないよう、すぐに請求書を提出しましょう。
当事務所では年金事務所での長年の経験にもとづき、社会保険の加入や働き方の判断のアドバイスを行っております。自分の状況がよく分からない方などは、お気軽にご相談ください。