「就業規則は数年前に見直したから大丈夫。」
「パートタイマー用の就業規則もある。」
このように考えている企業は少なくありません。
しかし、同一労働同一賃金への対応は、就業規則を整備しただけでは十分とは言えません。
実際に説明できる運用になっているかが重要です。
最高裁判例でも、「規程に書いてあるから適法」という判断ではなく、仕事内容・責任・配置転換の範囲などを踏まえて待遇差が合理的かどうかが判断されています。
今回は、中小企業向けに簡単に確認できるチェックリストをご紹介します。
同一労働同一賃金で確認すべきポイント
まずは次の項目をチェックしてみましょう。
チェック① 雇用区分を整理していますか?
□ 正社員
□ パートタイマー
□ 有期契約社員
□ 嘱託社員
□ 定年後再雇用社員
会社の中でどのような雇用区分があるのか整理できていますか。
意外と多いのが、「長年働いているパート」 「契約社員だけど仕事内容は正社員と同じ」というケースです。
まずは雇用区分ごとに整理することが第一歩です。
同じ部署でも、などが異なる場合があります。
担当業務
責任の重さ
判断権限
クレーム対応
部下の指導
□ 業務内容を一覧表にしている
□ 正社員との違いを説明できる
これができない場合は、待遇差の説明も難しくなります。
チェック③ 転勤・異動・配置転換の違いを整理していますか?
同一労働同一賃金では、仕事内容だけでなく、人材活用の仕組みも重要な判断材料です。
正社員
・全国転勤あり
・部署異動あり
・管理職登用あり
パート社員
・勤務地限定
・異動なし
・残業なし
このような違いがある場合には、その違いが待遇差の理由になることがあります。
チェック④ 各種手当を見直していますか?
見直しが必要になりやすいのが各種手当です。
例えば、
通勤手当
食事手当
精皆勤手当
安全手当
特殊勤務手当
家族手当
住宅手当
「正社員だから支給する」だけでは合理的な説明ができない場合があります。
手当ごとの支給目的を整理することが重要です。
チェック⑤ 福利厚生に差がありませんか?
福利厚生も対象になります。
例えば、
食堂利用
休憩室
更衣室
慶弔休暇
健康診断
福利厚生施設
利用できる人とできない人に合理的理由があるか確認しましょう。
チェック⑥ 賞与・退職金の考え方を整理していますか?
賞与や退職金は、「必ず同じ額を支払う」ということではありません。
しかし、
会社への貢献
長期雇用への期待
職務内容
などとの関係で説明できることが必要です。
チェック⑦ 説明できる資料がありますか?
2020年の法改正以降、
短時間・有期雇用労働者から待遇差について説明を求められた場合には、事業主は説明する義務があります。
そのため、
□ 賃金規程
□ 就業規則
□ 人事制度
□ 職務一覧表
□ 手当の支給基準
などを整理しておくことが重要です。
チエック⑨ 正社員の待遇引き下げによって待遇差を解消していませんか?
正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間の不合理な待遇差を解消する際には、正社員の労働条件を不利益に変更するのではなく、パートタイム・有期雇用労働者の労働条件の改善が求められています。
例えば、正社員にだけ支給していた住宅手当を廃止して待遇差を解消するという方法は、望まれるものではありません。
チェック⑩ 実際の運用が規程どおりですか?
ここが最も重要です。
例えば、就業規則では「正社員は転勤あり」となっていても、実際には誰も転勤していない。
逆に、パート社員が正社員と全く同じ仕事をしている。
このようなケースでは、実態で判断される可能性があります。
規程だけでなく、運用も定期的に確認しましょう。
チェックリストまとめ
次の項目を確認してみましょう。
✅ 雇用区分を整理している
✅ 業務内容を比較している
✅ 責任や権限を整理している
✅ 転勤・配置転換の違いを整理している
✅ 各種手当を見直している
✅ 福利厚生を確認している
✅ 賞与・退職金の考え方を整理している
✅ 正社員の待遇を引き下げていないか
✅ 説明資料を準備している
✅ 実際の運用を確認している
3つ以上チェックが付かない場合は、一度制度全体を見直すことをおすすめします。
よくあるご相談
Q. 就業規則を作成しただけで対応したことになりますか?
いいえ。就業規則は重要ですが、実際の運用や待遇差の理由を説明できる状態であることが求められます。
Q. パート社員が正社員と同じ仕事をしている場合はどうなりますか?
仕事内容や責任、配置転換の範囲などを総合的に比較し、待遇差に合理的な理由があるかが判断されます。
Q. 定年後再雇用社員も対象ですか?
はい。定年後再雇用社員も、短時間・有期雇用労働法の対象となる場合があり、待遇差について合理的な説明が求められます。
社会保険労務士に相談するメリット
同一労働同一賃金への対応は、就業規則を整備するだけではなく、賃金制度や手当、福利厚生、実際の運用まで含めて総合的に確認する必要があります。
当事務所では、中小企業の実情に合わせて、
現状分析
待遇差の点検
就業規則・賃金規程の見直し
説明資料の整備
法改正への継続的な対応
まで一貫してサポートいたします。
「自社の制度で問題がないか確認したい」「どこから見直せばよいか分からない」とお考えの事業主様は、お気軽にご相談ください。